僕は幼少期の頃、今にして思えば貧しい家庭環境だったようなんだけど、子供の頃はお金があるとか無いとか、あんまり考えたりすることは無かったと思う。
ただ、お金が無かったんだろうなと思ったエピソードを2つ憶えているんだけど、一つは僕が小学4年生頃の夏のある夕方の出来事だ。
僕たち家族は県営住宅に住んでいたんだけど、その住宅の入り口にある商店の自動販売機でお風呂上りに飲むファンタグレープの1ℓビン(当時はペットボトルなんて無かったと思う)を母親に買ってもらったんだけど、僕は手を滑らせて落として割ってしまった。落ち込んでいる僕に母親は、今日は我慢しなさいと言ってそのまま連れて帰られたことだ。
多分、当時の僕はお金が無いから2本目を買ってくれなかったとは思わず、ただ単に、ファンタグレープは1週間に1本しか買えないものなんだと認識していたような気がする。
もちろん、今の僕なら子供が落として割ってしまったジュースなんか、2ケースくらい箱買いしてやるんだけどね・・・
当時は、両親も色々苦労をしていたんだと思うと、少し寂しくもあるけど、そんなに大変なのによく育ててくれたなーと感謝の気持ちもある。
もう一つはやっぱりその頃だと思うんだけど、季節は秋から冬にかけての少し肌寒い時期、僕は母親とバスに乗って2つ隣の街のスーパーに買い物に行ったことを憶えている。
そのスーパーは衣料品やおもちゃ売り場もあって、僕は母親が買い物をしている間そのおもちゃ売り場で時間を潰すのが常だったんだけど、その日は母親が、僕の好きなチョロQを一個買ってくれると言うので紫色のオフロードを買ってもらった。それが超嬉しくて、帰りにバス停でバスを待つ間中、夢中になって遊んでいたのを憶えている。
多分、あんまりおもちゃを買ってもらえなかったからとても嬉しかったんだと思う。
そういう幼少期の経験があるからなのか、僕はお金に対して凄く弱気というか、お金に困る恐怖心がかなり強い方だったと思う。
だからサラリーマン時代は少しでも高い給料の会社に転職を繰り返したし、結局、僕はサラリーマンの才能が無いんだなーと気が付いて独立起業の道を選んだんだけど、それからもお金を稼ぐことが正義だと信じて頑張っていた時期もある。
特に株式投資に失敗して妻と二人でせどりを始めた頃なんかは、この先ずっとお金に苦労する人生を送るくらいなら、いっそのこと死んだ方がマシだわ!という覚悟でめちゃくちゃ仕事に打ち込んでいた。
実際僕はその当時、朝、普通に目が覚めることが我慢できなかった。何故なら、朝、普通に起きれるということはまだまだ余裕があるってことだからだ。翌朝、起き上がれないくらい仕事をやらないからお金が稼げないんだと信じていた。
それからその事業で法人を設立し、移転を繰り返して社員を増やして拡大してきたんだけど、40歳の頃にとうとう無理が祟って入院することになってしまった。病院に担ぎ込まれて検査を受けている僕を、妻が心配そうな顔をしてずっと検査室の外から僕を見つめていた。
それから入院することになったんだけど、妻は仕事が終わった後、毎日病院に来てくれて付き添いで泊まってくれていた。
その時、僕はいつまでも無理がきくわけではないんだなーと気が付いたというか、お金があっても体を壊したら何にもならんなーと気が付いた。
それまでは沢山お金を稼ぐことが幸せになる方法だと思っていたんだけど、入院することになって、妻と二人三脚で色んな出来事を乗り越えてきて、僕はお金は必要なだけあれば十分だと思うようになった。
そして、幸せになる為には時間が必要だと感じるようになった。
妻と食事をする時間、妻と何気ない会話をする時間、家族で旅行に行く時間、銀次郎(トイプードル)と遊んだり散歩をしたり、一緒にうたた寝をする時間、他にも勉強をする時間、好きなことに没頭する時間、トレードをする時間等、時間の方がお金よりも何十倍も大事だと考えるようになった。
実際、お金なんか時間さえあればどうにでもなるもんだしね。
僕はもう46歳、妻は3つ上の49歳、長男の銀次郎は5歳、残りの人生を考えると、1分1秒無駄には出来ない歳になってしまった。
だから僕は、お金を稼ぐのと同時に時間を稼ぐことを意識している。寧ろ時間を稼ぐことと同時にお金を稼ぐことを意識している、という方が適切かもしれない。僕が会社を経営したり投資をしたりしているのは、時間とお金とその両方を手に入れる為だ。
今では、僕は朝8時から8時半頃に起きて血圧を測り、コーヒーを飲みながらPCの電源を入れてNY市場のチェックをした後、東京株式市場のオープンに備えて楽天証券のマーケットスピード等のツールを起動させる。それからひと段落する10時頃に妻が朝食を用意してくれるので、一緒に朝ごはんを食べる。
前場で大体その日のトレーディングというか、僕はデイトレーダーではないので基本的にはスイッチをするかどうか、手終いや仕込みをするかどうかの判断をしたり指値注文を入れたりするんで、それ以降は色んなことをして過ごす。
例えば銀次郎を可愛がったり子供の相手をすることもあるし、車の洗車やドライブ、或いは整体に行ったり買い物に行ったりすることもある。

ハッキリ言って、サラリーマンでは絶対に出来ない時間の過ごし方だ。
夕方には銀次郎の散歩に出かけるんだけど、これも今の季節だと夕方の4時から5時の間くらいだから、普通のサラリーマンはまだ仕事をしている頃だよね。
そして年に1回くらいを目安に、国内外の旅行を楽しむ。

僕は何億円も稼いでいるわけでもないし、そんなに莫大な財産も持っていない。だけど、そこそこの運用資産と時間を手に入れたおかげで、生活に苦労する不安もないし、ある程度好きなことをしたり欲しいものを買ったり、家族とのんびり過ごしたり旅行をする時間もある。
僕の周りには、まだまだお金を稼ぐことばかり考えている人が多いんだけど、お金を稼ぐことから時間を稼ぐことに考え方を切り替えない限りはいくらお金を稼いだところで豊かな生活を手に入れることは出来ないと思う。
この世界は早死にするにはもったいないくらい面白い!これがお金より時間が大事だと考えるようになった今の僕の本音だ。
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